映画 マチネの終わりに 感想書いてみる。
とてもくたびれた、長い仕事の打ち合わせがあり、
ちょっと気分転換しないとなあと思った水曜日、
そうだ、レディースディだ!と、映画館に行きました。
もう夜9時近く、見られる映画は限られてる。
でもそんな時の強い味方の某シネマ、これからでもチケットが買える上映作品がある。
ってなわけで、気になってた『マチネの終わりに』をみることにしました。
落ち着いた夜の映画館で鑑賞する『マチネの終わりに』。
とてもラッキーなことだけど、帰りの電車を気にしないでいける映画館があるので、
夜、終電に乗れるか乗れないかのギリギリの時間に終わる、最終上映を観るのが好きです。
人数も圧倒的に少ないから隣はいないし、高校生以下は入れないので、落ち着いた客層、
そんな中で鑑賞するには最適な映画でした。
世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史は
公演の後、パリの通信社に勤務するジャーナリスト・小峰洋子に出会う
ともに四十代という、独特で繊細な年齢をむかえていた。
出会った瞬間から、強く惹かれ合い、心を通わせた二人
洋子には婚約者がいることを知りながらも、
高まる想いを抑えきれない蒔野は、洋子への愛を告げる
しかし、それぞれをとりまく目まぐるしい現実に向き合う中で、
蒔野と洋子の間に思わぬ障害が生じ、二人の想いは決定的にすれ違ってしまう。
互いへの感情を心の底にしまったまま、
別々の道を歩む二人が辿り着いた、愛の結末とは― (公式HPより)
(出典 マチネの終わりに公式HP)
あらすじはだいたい知っていたけど、まだ原作は読んでません。
原作を読んだ人の総評があまり良くなかったので、とりあえず映画だけを楽しもうと。
音楽と映像はとても美しかったです。
スクリーンも音響のグレードがいいスクリーンで観られて本当に良かったと思えました。
もともと主演を務める福山雅治の奏でるギターの音色は好きだったし、
初めての挑戦したクラシックギターも優しく澄んでいて、かなりのものでした。
クラシックギタリストの物語なので、全編音楽が彩られ、とても効果的でした。
ただやっぱり、小説を二時間にまとめるのは端折ってしまうのがしょうがないかなという部分もあるわけで、
その削ぎ落とした部分が、小説を好きで観た人にはちょっと違っちゃったのかなとも感じました。
以下からはネタバレ含んだ感想です。
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ネタバレ含んだ感想
唐突にも思える二人の恋の始まり、
これって経験値の問題で、なんでそうなるのか?って理解できないかもしれない。
でも友人でも恋人でも、一目でなんかこの人好きだなとか、感性が合うなと思えたことがあるなら、
蒔野のいきなりの告白も、洋子が婚約者を捨ててまで、それを受け入れようとしたのかわかるかもしれない。
この人と同じように考えられる、特別なのかもといった心の動きは、
最初に会った時の曲の感想や、レストランでの会話で表現されます。
あとで二人を引き離すことになる早苗がそこに割って入れないことも、
暗に示されている。これはわかりにくい伏線ですよね。
歳考えたら?と思うほど直球でわかりやすい蒔野の行動は、
見る人によっては滑稽に、あるいはストーカーにも見える。
でも可愛いなと思ってしまいました。
テロに遭遇し、同僚をほとんど目の前で殺されてしまった洋子は
直接な言葉ではなく、全然違う表現でほぐそうとしている蒔野に癒され、
この人と人生歩きたいと考え直していく過程がよく伝わってきました。
日本に来る洋子を部屋を掃除して、料理をしながら待つ蒔野、
でもその晩に決定的にすれ違うきっかけを早苗によって作り出されてしまいます。
なんで今時あっさりすれ違いに陥ってしまうのか、
あらすじだけではすごく不自然と思っていたけど、
あれじゃ仕方ないかな?まあ納得はしました。
でも、電話で話せればすぐにおかしいことに気づけたはずなのにとも思う。
あんな別れ方をして、二人があっさり、別々のパートナーと結婚しているところに急に飛んでしまったのも、
映画に収めるためだったのかなあ?
そして解釈が分かれる早苗の突然の告白。
洋子も蒔野もあまりのことに愕然としてしまってる
口では好きにしていいのよと言いながら、蒔野を送り出す早苗
彼女は全く別のことを期待していたと思います。
私はこう考えます。
あの告白は早苗の一世一代の賭けだったんじゃないかと。
彼女はデビューコンサートを開いた場所で復活コンサートを行おうと奔走します。
同時に洋子と会い、先に告白し、反省しているような態度しながらも、
洋子が蒔野を初めて見た場所を自分が提供することにより、同じ位置に立ち、
同時に、蒔野の妻となり、子供まで設けた自分の姿を見せつけたかったんじゃないかと。
蒔野に懺悔して、身を引くそぶりを見せながら、
本当は彼に、
そこまでするほど自分を愛してくれてありがとう、
今は早苗と、子供の生活の方が大事だよ、と言ってくれるのを期待していたのでは?
この映画ではかなり蒔野は早苗に対して優しく接しているように描いているので、
一時は激怒しても、子供いることだし、自分を捨てるようなことはしないだろうと考えてる、
そういう印象を持ってしまいました。
でも、早苗は結局その賭けに負けるでしょう。
この映画は、結末を明らかにしていません。
ラストはすれ違った二人がようやく再会し、笑顔を浮かべるところで終わります。
未来は過去を変える、
そのテーマは観客に委ねられたまま。
秋の夜長に見てよかったなと心から思いました。
これが昼間で、映画館から出て青空だったりしたら、なんかもう少し醒めてしまっただろうけど、
満月に近い月を見上げて少しセンチに歩く帰路、
余韻がすごく残る大人の映画となりました。
もう少し落ち着いたら、改めて原作を読んでみたいと思います。
また違った感想になるのかな?
この物語、実在のモデルがいるということもミステリアスです。
映画はもしかしたら小説のダイジェスト版だったかもしれない。それでも十分満足できました。
でもでも、できることなら、石田ゆり子、福山雅治どちらも10年前の容姿で演じて欲しかった。
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