家具業界の憂鬱 アイデックの廃業と大塚家具身売りの噂

8月1日、朝一番に電話が入りました。

「この前のプレゼン、至急やり直しお願いできない?」

それはつい一週間前に、クライアントから了解もらったばかりの

某商業施設向けの家具リストの変更の連絡でした。

は?と思ったものの、「アイデック、倒産らしい。家具使えないから選び直して。」と。

 

まあそれから先週末まで、大変でした。

座り心地まで確かめてもらい、了承とっていたから、

形が似て入ればいいというものでなく、

しかも選んだ家具の似ている形なんてなく、

ごねるクライアント(そりゃ当然の反応です)にアポ取ったり、家具やさんに手配し直したり、

完成予想図の修正依頼かけたり、

他の仕事そっちのけで対応にあたってました。

それは私だけの話ではなく、周りでアイデック選んでた同僚知人みんな同じように困惑して奔走してたようです。

 

アイデックの廃業は素早かったです。

張り紙で閉鎖を知らせるとほぼ同時に事務所もホームページも閉鎖、見事な計画倒産です。

そもそもインテリア業界以外にはほとんど知らない方ばかりでしょうけど、

このような椅子、お店で見かけたことはないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

これはアイデックさんのオリジナル家具。

作りは曲線も美しく丁寧で、耐久性もよく、メンテナンスの対応もよかったので、結構お世話になっていました。

張り地も単独取り扱いしていたものが多かったし、

ベンチシートの背もたれの需要も高かったはずです。

なんでこんなことになってしまったのか、、

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アイデック(AIDEC)とは

1977年にドイツTHONET社の総代理店として発足し、

創業以来ドイツを中心にヨーロッパから優れたデザインの家具を日本に紹介したり

国内で活躍するデザイナーとのコラボレーションによる、

オリジナルデザインの家具を発表してきた会社で、どちらかというと少しグレードの高い飲食店や、ホテルでの需要が高かった家具メーカーです。

THONETといえば、曲木と言われるくらい、曲木家具として代表的なメーカー、

 

 

 

 

 

 

このような家具、よく目にしていると思います。

東京オリンピック前なので、家具需要も高かったのに、時流に乗れなかったのでしょうか。

なぜ廃業まで追い込まれたのか。

いいものを作っていて、需要もそこそこまだあるというのに、

なぜ?という疑問が消えないのですが、

最近のジェネリック家具、リプロダクト家具の台頭も少なからず影響しているのではないかと思っています。

それと曲げ木家具自体も模倣品は幅広くでてきており・・・・

あ、書き方悪かったですね。

模倣品というか、曲げ技の技術を応用してデザインを少しずつ変えて、
大量に安く製作しているものも出回っているので、
そういった競争に負けてしまったのではないでしょうか。

 

一部報道では、リーマン・ショックからの落ち込みが顕著になって、
金融機関の高飛車な対応に経営断念せざるを得なかったとありました。

負債額、約8.5億円。

売り上げ高も落ち込んだとはいえ、同額以上にあげていたようで、

オリンピック需要を見越し、もう少し柔軟な対応をしてくれればと、残念でなりません。

会社更生法の申請をしても良かったとも思うのですが、

あんなにきちんと作る会社をこのままなくしてしまうのは、大きな損失だと思います。

負債総額もそれほど大きくもなく、

どこか引き取る企業が出てくれればいいのですが、

引き取って効率化という名の下、品質が落ちるのなら、それも考えものです。

大塚家具も身売り

そんな中、大塚家具の身売りか?という報道もされました。

こちらはお家騒動のイメージが色濃く影を落としてしまったようですね。

久美子社長も頑張ったようですが、方向的にはニーズに合わなかったのだと感じてます。

安価で気軽に買える家具やリユースなどは別のブランドにするべきで、

担当がついてのご案内は継続した方が良かったですね。

一流メーカーの取り扱いも多く、いいもの買うなら大塚家具にって人も多かったはずなので。

実際担当につく営業マン、すごく優秀な方が多く、

お客様と同行した時にとても参考になりました。

とにかく家具が好きって感じで、営業してるって思わせないというか、

話を聞いてて楽しかったし、お客様も楽しそうだった。

でも昨今のお客様は、そういう打ち合わせなど必要としてなくて、

ネットで調べて安いもの安いものを追求した結果、

メーカーや総合販売店などが淘汰されているようです。

座り心地を確認しなくても、デザインだけで買う人も増えていて、

果たしてそれでいいのかなあと疑問に思うこと自体、時代遅れなんでしょうか。

そのうちお気に入りを探したくなっても、

作るところからなくなってしまう世の中に、どんどん向かっていきそうな不安を覚えます。

 

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